サウナ後の「ととのい」体験に欠かせない水風呂。その温度を安定して維持するために必要なのがチラー(水風呂冷却装置)です。夏場でも水温を一定に保ち、理想的な冷たさを実現できるチラーですが、家庭用と業務用では価格や冷却能力が大きく異なり、選び方を間違えると期待した冷却効果が得られないことがあります。本記事では、水風呂チラーの選び方と費用相場について、2026年時点の情報をもとに解説します。
目次
- 1水風呂チラーとは?基本的な仕組みと導入メリット
- >チラー導入の主なメリット
- 2家庭用と業務用の違い|価格帯と性能を比較
- >価格帯と性能の比較表
- >家庭用チラーの特徴
- >業務用チラーの特徴
- 3失敗しないチラー選びの4つのポイント
- >1. 水風呂の容量に合わせた冷却能力を選ぶ
- >2. 空冷式と水冷式の違いを理解する
- >3. 設置スペースと配管工事を確認する
- >4. ランニングコストを考慮する
- 4チラー導入にかかる総費用の内訳
- >家庭用チラー導入の費用内訳例
- >業務用サウナ施設の場合
- 5ランニングコスト|電気代と維持費の実際
- >電気代の目安
- >水道代の削減効果
- >メンテナンス費用
- 6サウナ開業でチラー導入に使える補助金
- >主な補助金制度
- >補助金申請の注意点
- 7よくある質問
- >家庭用チラーと業務用チラーの一番の違いは何ですか?
- >チラーの電気代はどのくらいかかりますか?
- >チラーを選ぶ際に最も重要なポイントは何ですか?
- >サウナ開業でチラー導入に補助金は使えますか?
- >空冷式と水冷式、どちらを選ぶべきですか?
- 8まとめ|失敗しないチラー選びは専門家への相談が確実
- 9参考リンク
水風呂チラーとは?基本的な仕組みと導入メリット
チラー(chiller)は、水や不凍液などを冷却し、それを循環させて設備や空間の温度を下げる装置
です。
サウナ施設では、水風呂の温度を安定して維持するために使用されます。
チラーの冷却の仕組みは、家庭用エアコンや冷蔵庫と同じ「ヒートポンプ技術」を利用しています。
チラー内部には冷媒と呼ばれる液体があり、この冷媒を使って水中の熱を奪い取っている
のです。水がチラー内を循環する際に熱を冷媒がキャッチし、その熱を装置の外へ放出することで、冷やされた水が再び浴槽へ戻される仕組みです。
チラー導入の主なメリット
- 年間を通じて安定した水温維持:
夏場でも安定した冷たさを保てるため、ホテル・旅館・個室サウナ・温浴施設などで導入が増えています - 水道代の大幅削減:
チラーは浴槽内の水を循環させながら冷却する仕組みが基本で、一度溜めた水を繰り返し使用できるため、水道代を大幅に節約できます - 理想的な「ととのい」体験:
きちんと冷却できれば、無理をしなくても短時間で体が切り替わり、家でも本格的な"ととのい"を実感できます
サウナの満足度を左右する重要な要素である水風呂の温度管理において、チラーは快適な体験を提供するために不可欠な設備といえるでしょう。
家庭用と業務用の違い|価格帯と性能を比較

チラーには家庭用と業務用があり、それぞれ価格帯や性能が大きく異なります。用途と規模に合わせた適切な選択が重要です。
価格帯と性能の比較表
| 項目 | 家庭用チラー | 業務用チラー |
|---|---|---|
| 価格相場 | 20万〜150万円程 | 100万円〜1,000万円以上 |
| 想定利用者数 | 1〜2名程度 | 5〜10人同時利用可能 |
| 稼働時間 | 間欠運転(必要時のみ) | 連続運転に耐える設計 |
| 電源 | 単相100V/200V | 三相200V |
| メンテナンス性 | シンプルで扱いやすい | 専門業者による定期保守が必要 |
家庭用チラーの特徴
家庭用チラーは初めてホームサウナを導入する人でも扱いやすい設計が多く、導入しやすいのが特徴
です。コンパクトで設置スペースも最小限で済み、電源も一般家庭の単相100Vまたは200Vで対応できるため、特別な電気工事が不要な場合が多いのもポイントです。
業務用チラーの特徴
サウナ施設では1日中水風呂を稼働させるため、業務用チラーは連続運転に耐える設計で、耐久性が最優先されます。
最新の業務用モデルには、省エネ運転や自動温度制御機能が搭載されており、光熱費の削減やメンテナンス負担の軽減につながります。
大型水風呂を整備する場合、チラー本体に加えて水槽・工事費なども必要となり、総費用が1,000万円超になるケースもあります。そのため、施設の規模や事業計画に応じた慎重な機器選定が求められます。
失敗しないチラー選びの4つのポイント
チラーを選ぶ際には、水風呂のサイズ・設置環境・使用頻度・冷却能力の4つの観点から検討することが重要です。
チラーを設置しても水風呂が目標の温度まで冷えない、または冷却に時間がかかってしまうことがあります
ので、適切な機器選定が必要です。
1. 水風呂の容量に合わせた冷却能力を選ぶ
チラー選びで最も重要なのが、水風呂の容量(リットル)に対して十分な冷却能力(kW)を持つ機器を選ぶことです。能力不足のチラーを選んでしまうと、設定温度まで冷えるのに時間がかかったり、夏場には全く冷えなくなったりします。
チラーの必要冷却能力は、水風呂の容量、設置環境の温度、目標水温、到達希望時間などによって異なり、専門的な計算が必要です。一般的な目安として家庭用の200〜300リットルの浴槽では0.4〜1.0kW程度の冷却能力が用いられる例もありますが、実際の選定にあたっては専門業者に現地調査を依頼し、適切な機器を提案してもらうことを強く推奨します。
2. 空冷式と水冷式の違いを理解する
チラーには大きく分けて空冷式と水冷式の2タイプがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。
空冷式チラーの場合は、循環水を空気の力によって冷やすため、循環水から放出された熱が室内に排出されます。そのため、設置場所の換気や排熱対策が必要です。一方、水冷式は排熱が発生しませんが、
冷却水そのものを冷やし続ける必要があ
るため、別途冷却塔などの設備が必要になることがあります。
家庭用では設置の簡便性から空冷式が一般的ですが、業務用では施設の規模や条件に応じて水冷式を選択するケースもあります。
3. 設置スペースと配管工事を確認する
配管の長さや周囲温度など踏まえ再選定が必要
な場合もあるため、設置環境を事前に確認することが重要です。チラー本体のサイズだけでなく、配管ルートの確保、排熱スペース、メンテナンススペースなども考慮する必要があります。
投げ込み式の簡易チラーであれば配管工事が不要なタイプもありますが、冷却能力は限定的です。本格的な導入を検討する場合は、専門業者に現地調査を依頼し、最適な設置プランを提案してもらうことをおすすめします。
4. ランニングコストを考慮する
チラーの導入後には、電気代、水道代、メンテナンス費用などのランニングコストが継続的に発生します。初期費用だけでなく、長期的な運用コストも含めた総合的な判断が必要です。
使用頻度や設定温度、チラーの機種によって電気代は大きく変動します。一般的な家庭用チラー(消費電力0.5〜1.0kW程度)を想定した場合、毎日長時間稼働させると月々5,000円を超えることもあり、週に数回や短時間の使用であれば月2,000円以下に抑えることも可能とされています。詳細は使用するチラーの消費電力と使用時間から試算してください。
チラー導入にかかる総費用の内訳
チラー導入には、機器本体の購入費用だけでなく、設置工事費やその他の関連費用が発生します。トータルコストを把握したうえで予算計画を立てることが大切です。
家庭用チラー導入の費用内訳例
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| チラー本体 | 20万〜150万円 |
| 水風呂本体(浴槽) | 10万〜80万円 |
| 配管・電気工事 | 10万〜50万円 |
| 循環ポンプ・ろ過装置 | 5万〜30万円 |
| 合計 | 45万〜310万円程度 |
※上記は一般的な目安であり、設置環境や選定機器によって大きく変動します。具体的な金額は専門業者への見積もり相談が必要です。
業務用サウナ施設の場合
業務用の場合、チラー本体が高額になるだけでなく、大型水槽の設置、三相電源の引き込み工事、排水設備、衛生管理設備など、さらに多くの費用が必要です。また、水風呂や外気浴スペースにも相応の費用がかかり、小規模なサウナ施設の場合でも、初期投資として数百万円から数千万円が必要とされています。施設の規模・設備仕様により幅がありますので、専門業者への相談が必要です。
サウナ施設を開業する場合は、設備投資だけでなく、公衆浴場法に基づく営業許可や消防法への適合など、法的手続きも必要になります。自治体により運用・基準が異なるため、管轄の保健所や消防署への事前確認が不可欠です。
ランニングコスト|電気代と維持費の実際
チラーの運用では、電気代、水道代、メンテナンス費用が継続的に発生します。これらのランニングコストを事前に把握し、無理のない運用計画を立てることが重要です。
電気代の目安
電気代は、消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価で計算でき、簡易計算の目安として電気料金単価31円/kWhが用いられる例が多くみられます。ただし、実際の電気代は基本料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金(2026年度:4.18円/kWh)なども加算されるため、これより高くなる点にご注意ください。
省エネ性能を示す指標(COP)が高いモデルを選ぶなど、長期的な視点でコストパフォーマンスを評価することが賢明
です。
使用頻度に合わせて、週末だけ使用する場合や短時間で済む場合は標準的なチラーでも十分対応でき、毎日使うヘビーユーザーの方は運転性能が高いモデルを選ぶことでランニングコストを抑えられます
とされています。
水道代の削減効果
チラーを導入することで、水を入れ替える頻度が大幅に減り、掛け流し式の水風呂と比較すると、水道代を大幅に削減できる可能性があります。年間で大きなコスト差が生まれる可能性があります。
メンテナンス費用
フィルターの掃除は月に1〜2回を目安に行うと良く、フィルターが汚れていると冷却性能が低下し、電気代が余計にかかることがあります。定期的な清掃や点検を怠ると、故障のリスクが高まり、修理費用が発生する可能性もあります。
業務用チラーの場合は、専門業者による定期メンテナンス契約を結ぶことが一般的で、年間数万円〜数十万円の保守費用を見込んでおく必要があります。
サウナ開業でチラー導入に使える補助金
サウナ施設の開業においてチラーなどの設備投資を行う場合、補助金制度を活用することで初期費用の負担を軽減できる可能性があります。
主な補助金制度
事業再構築補助金は、当初はコロナ対策として始まった補助金でしたが、2023年度(第10回公募以降)から主要な成長枠において売上等減少要件が撤廃され、業績が好調な企業も利用できるようになりました。ただし、一部の申請枠(最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠)では売上減少要件が必要でした。なお、事業再構築補助金は2025年3月で終了しています(後述)。なお、事業再構築補助金は2025年3月で終了しました。後継制度として「中小企業新事業進出補助金」が創設されましたが、同補助金は2026年6月に第4回公募で受付終了しています。2026年度からはものづくり補助金と統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(新事業進出枠)が利用可能です(2026年8月時点)。サウナ施設の設備投資に活用できる最新の補助金制度については、認定経営革新等支援機関や自治体の産業支援窓口にご確認ください。
事業再構築補助金が実施されていた時期には、新分野展開として新規サウナ事業に挑戦する企業において、まったくの異業種からでも多くの企業で補助金が採択されていました。
補助金制度の中には「地域貢献性」や「交流人口の創出」といった観点を重視するものもあり、こうした観点に沿うサウナ事業は評価される可能性があります。ただし、補助金は原則として審査に通ることが支給の前提であり、申請しても採択されないケースがあります
ので注意が必要です。
補助金申請の注意点
交付決定後の経費のみが補助対象になるケースがほとんどのため、交付決定前に発注・契約した設備は補助対象外となることがあります。タイミングに十分注意が必要です。補助金は国、都道府県、市町村それぞれのレベルで用意されているため、自治体の制度を確認し、自社の事業計画に合った制度を選択することが重要です。
補助金の詳細や申請手続きは専門性が高いため、行政書士や補助金申請支援の専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問
家庭用チラーと業務用チラーの一番の違いは何ですか?
最も大きな違いは冷却能力と耐久性です。家庭用は1〜2名程度の利用を想定した間欠運転向けの設計で、業務用は連続運転に耐える設計となっています。価格も家庭用が20万〜150万円程度であるのに対し、業務用は100万円〜1,000万円以上と大きく異なります。
チラーの電気代はどのくらいかかりますか?
使用頻度や設定温度によって大きく変動しますが、毎日長時間稼働させる場合は月々5,000円を超えることもあり、週に数回や短時間の使用であれば月2,000円以下に抑えることも可能です。省エネ性能の高いモデルを選ぶことで、長期的なコストを削減できます。
チラーを選ぶ際に最も重要なポイントは何ですか?
水風呂の容量に対して十分な冷却能力を持つ機器を選ぶことが最重要です。能力不足のチラーでは設定温度まで冷えないことがあるため、専門業者に現地調査を依頼し、設置環境や使用条件に合った適切な機器を提案してもらうことをおすすめします。
サウナ開業でチラー導入に補助金は使えますか?
事業再構築補助金などの補助金制度が過去に利用できましたが、2025年3月で終了しています。2026年度からは後継の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(新事業進出枠)などが利用可能です。サウナ事業の設備投資に活用できる最新の補助金制度については、認定経営革新等支援機関や自治体の産業支援窓口にご確認ください。
空冷式と水冷式、どちらを選ぶべきですか?
家庭用では設置の簡便性から空冷式が一般的です。ただし排熱が発生するため、設置場所の換気対策が必要です。業務用では施設の規模や条件により水冷式を選択することもあります。設置環境や予算を考慮して、専門業者に相談することをおすすめします。
まとめ|失敗しないチラー選びは専門家への相談が確実
水風呂チラーは、サウナの満足度を大きく左右する重要な設備です。水風呂の容量、設置環境、使用頻度に応じた適切な機器選定が成功の鍵となります。家庭用であれば20万円台から導入可能ですが、業務用では数百万円〜1,000万円超の投資が必要になることもあります。
チラー選びでは、冷却能力の不足や設置スペースの問題、ランニングコストの想定外の増加など、専門知識がないと判断が難しい要素が多くあります。導入前に専門業者に現地調査を依頼し、設備構成から費用まで総合的な提案を受けることが、失敗を避ける最善の方法です。
サウナ施設の開業を検討されている方は、公衆浴場法などの法規制対応や補助金申請も含めて、総合的なサポートを提供できる専門家に相談することをおすすめします。
参考リンク
サウナ施設の企画・設計から開業後の集客・運営まで、株式会社RiBeQが一気通貫でお手伝いします。「まずは話だけ聞いてみたい」という方も、お気軽にご相談ください。
川崎 悠太 / 株式会社RiBeQ
代表取締役
サウナプロデュース・AI開発・クリエイティブを軸に、あらゆる可能性に挑む株式会社RiBeQを経営。あらゆるサウナを巡った知見を活かし、サウナ施設の企画・設計から開業後の集客・運営まで一気通貫でプロデュース。AI構築コンサルティングやSEO/LLMO対応の記事作成自動化など、企業のAI活用支援も手がける。月2回開催の経営者向けサウナ交流会を主宰。






